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2008年3月

2008/03/26

光ファイバーとADSL 2

前回は回線速度について考えましたが、今回は費用と工事につて考えてみます。

必要な費用

光ファイバー(以後FTTH)を利用するにもADSLを利用するにも、当然費用がかかります。
また工事が必要な場合もあります。

初期費用と工事

FTTHは一戸建て住宅の場合、新たに光ファイバーケーブルを家に引き込むことになります。
ケーブル引き込みのための工事、終端装置設置工事等が必要になります。
事前に担当者が訪問して、配線ルート等の調査が行われます。
光ケーブルを宅内に引き込むには、エアコンの室外機へのホースの穴(穴と壁の隙間)等を利用します。
うまくこのような穴を利用することが出来れば、自分の好みの部屋へ引き込んでもらうことも出来ます。
光ケーブルが家の向かい側に張られており、引き込みケーブルが道路を渡る場合など許可が必要なのですが、この事前調査で調べ回線業者側で申請をしてもらえます。
賃貸住宅などでは、勝手にケーブルを引き込むために壁に穴を開けることが出来ない場合もありますので、この調査までに家主や管理人に相談しておきましょう。

この調査後、工事日が決まり実際にケーブル引き込み工事、終端装置の設置などが行われます。
したがって事前調査と実際の工事の2回立ち会わなければなりません。

一戸建ての場合はこのようなものですが、マンションなどの集合住宅では状況が異なります。
集合住宅の場合、基本的にはマンションなどの建物までは光ファイバーが施設されますが、各戸には電話回線を使う方法や、LANケーブルを使う方法などがあります。
何れの方法でも、基本的には建物のどこか1カ所に光ファイバーケーブルが引き込まれ、そこから機器を通して各戸に配線される形になります。
このため、ある程度の割合の戸数が使用しなければ、施設できない場合もあり、管理人・管理会社等の判断にもよるため、管理人などに相談してください。
施設方法により、初期費用や工事方法も異なります。
また、新しく建ったマンションなどでは、はじめから光回線が使用できるようになっている事も多いので、まず管理人などに相談してください。
ADSLを申し込まれ、接続のサポートに伺って、調べてみるとADSLより低額の費用でFTTHを利用することが出来たというようなケースを何度か経験したことがあります。
集合住宅の方は、まず管理人・管理会社・管理組合などに問い合わせてみましょう。
また、集合住宅でも低階層では一戸建てと同様に、直接光ファイバーケーブルを引き込むことが可能な場合もあるようです。

一方ADSLはNTTの電話線をそのまま使用しますから、電話が引かれている場合には家での工事は通常不要となります。
カタログや案内書に「NTT工事費」などと書かれている工事はNTTの局舎で行われるものです。
したがって、通常は宅内工事というものはありません。
しかし、前回の「回線速度」で書きましたように、ADSLは宅内の環境に大きく影響を受けるため、場合によっては宅内の環境を改善するための工事などが必要な場合があります。

FTTHとADSLはこのように使用開始前の工事が異なり、通常FTTHの方が高額な工事費用が必要になります。
初期工事費用が、ADSLでは数千円であるのに対し、FTTHでは1万~数万程度必要となります。
しかし、FTTHの拡大を目指し、多くの業者では「初期工事費無料」「工事費XX割引」等のキャンペーンのようなものをいつも行っており、現実にはADSL程度(時にはそれ以下)の費用で使用開始できる場合が多いものです。
マンション・集合住宅におけるFTTHの工事・初期費用については、それぞれのマンション等により異なりますので、管理人などにお問い合わせください。

月額使用料

FTTHとADSLの月額料金について見てみます。

回線使用料だけではインターネット接続は出来ません。ので、プロバイダ料金を含めた料金を見る必要があります。
例えば、NTTの回線を利用する場合、NTTはインターネット接続業務を行っておらず回線のみを提供しています。
NTTに回線利用の申し込みを行うと同時に、インターネット接続業者(プロバイダ)にも申し込みを行わなければなりません。
ADSLもFTTHも通常はNTT等の回線提供会社に回線利用料及びモデム等のレンタル料、接続会社(プロバイダ)に接続料金を支払います。
ここでは、この両者を含めた料金を見てみることにします。
インターネット接続だけの基本料金では、基本的にFTTHの方がADSLより高額であると言えます。一例として、回線をNTT、プロバイダをn社を利用する場合、ADSLは4,360円、FTTHは6,478円(いずれも税込み)となっています。
それぞれ、回線利用料、モデム等のレンタル料、インターネット接続料等を含んだものです。
ADSLは回線の速度により幾つかの料金体系があるのですが、その中の最高速度のものでの例です。
回線提供会社がプロバイダ業務も行っている会社もあります。
一般的には、このように回線提供とプロバイダを兼ねている会社の方がお得な料金になっている場合もあるようです。
関西地区で「eo」の名前でFTTHを提供しているケイ・オプティコムはプロバイダを兼ねており、プロバイダ料金込みでFTTH接続が4,900円で提供されています。
プロバイダ料金を含んでいるため、これ以上は何も必要がありませんので、関西地区の方ならADSLとほとんど変わらない料金でFTTHを利用することが出来ます。

マンション等の集合住宅の場合、FTTHでは各戸ではなく、まとめて引き込まれているため、一戸建て住宅よりかなり安い月額使用料(3,000~4,000円程度)が設定されており、ADSLと同程度かそれ以下の使用料でFTTHを利用することが出来ます。

次回はIP電話について書くことにします。

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2008/03/17

光ファイバーとADSL 1

最近パソコンサポートの訪問先などでADSLを使っている方から、光ファイバーに変えた方がよいのでしょうかと言う質問をよく受けます。
また、ブロードバンド化が広く行き渡ったため、回線業者やプロバイダの顧客獲得競争が激化して、既に光ファイバーを利用している方に、「ADSLでも光と同様の速度が出ますよ」と言うような電話勧誘まで行っているようです。
なかにはそのような勧誘電話で、光をADSLに変更して、後で後悔されている方も見かけます。
私は、数年来光ファイバーを利用しており、パソコンサポートで光ファイバーやADSLの設定作業を行っており、初心者の方のために「光ファイバーとADSLの違い」について、何度かに分けて書いてみようと思います。
ブロードバンドについて書くなら、ケーブルテレビ回線についても書くべきなのですが、ケーブルテレビ回線は全くさわったことがないため、今回は光ファイバーとADSLについてのみ比較してみたいと思います。
また、私は「eo光」を利用しており、「eo光」は関西地区のみに提供されているため、関西地区以外の方には全てが当てはまるとは限らないことをお断りしておきます。

回線速度

「光ファイバー」(以後Fiber To The Homeの略のFTTHを使用)とADSLを比較する要素は幾つかありますが、今回は回線速度についてです。
通常、回線業者などから公表されている回線速度では、FTTHが速いのは言うまでもありません。
現在(2008年3月)のところ、多くはFTTHでは100Mbps、ADSLでは速いものでも50Mbps位です。
しかし、現実には100Mbspとか50Mbpsなどという速度が出るわけではありません。
回線業者から示される回線速度は、理想の環境での最高速度であり、通常は示された速度よりかなり遅いものです。

速度低下の原因

速度が遅くなる理由は一つではなく、色々な環境の影響があります。
主なものは次のようなものです。

・ユーザー側の環境
使用するパソコンのOSやハード面での性能。
ルータ等の使用の有無や性能。
セキュリティソフトの影響。
・回線の環境
回線共有数や共有者の使用状況。
回線業者やプロバイダのインターネットへの接続回線の容量や品質。
・通信相手の環境
通信相手の使用するサーバの性能。
通信相手のサーバへのアクセス数や、アクセス回線の品質。

これらはFTTH,ADSL共に回線速度に大きな影響を与えます。

ADSL特有の速度低下原因

ADSLにおいては、さらに次のような影響が加わります。

・NTT電話局からの距離
NTTの電話局から3~5km以上の距離がある場合、速度は大きく落ちるようです。
・ISDN回線の影響
ADSLの流れるケーブルの近くに、ISDNの流れるケーブルがあると、その影響を受けます。
・高圧電線や変電所
近くに高圧電線が通っていたり変電所などがある場合、その影響を受けます。
・宅内の環境
モジュラージャックとADSLモデムを長い電話線で接続しなければならない場合や、プロパンガスの自動検針、インターフォンの応答とNTT電話の共用、宅内配線の品質等、様々な宅内の環境で接続が不安定になったり、接続できないなどの影響を受けます。

これらの影響については、ADSL特有のものでありFTTHでは影響を受けません。

公表速度と実際の速度

回線業者がカタログなどで公表している回線速度は、速度低下に影響する要素が全くない状態での理論値であり、現実には公表値通りの速度が出ることはまずありません。
特にADSLにおいてはADSL特有の影響が大きく、公表値では50Mbpsなどの高速であっても現実には3Mbps程度と言うことも多く、条件によっては1Mbpsも出ないこともあります。
私の経験では、多くは3~5Mbps程度以下であり10Mbpsを超えるようなケースは希であると言えます。
FTTHでは、使用するパソコンやルータ等の性能、相手側サーバの環境等に大きく影響を受け、条件さえ良ければ70~90Mbps程度の速度は十分に出ます。

下りと上りの速度差

これまで書いてきた回線速度は「下り」方向の話であり、「上り」方向ではFTTHとADSLでは大きく異なります。
ADSLでは、「下り」はたとえ10Mbpsの速度が出ても、「上り」では1Mbpsも出ないケースがほとんどです。
FTTHでは、「上り」と「下り」はほぼ同じ速度が出ます。
インターネットサイトの閲覧等では、相手サーバからデータをダウンロードする速度、つまり「下り」の速度が十分に出れば問題ないのですが、大きなファイルを交換するなど大容量のデータを送る場合には、「上り」の速度も十分速くなければ快適に使用することは出来ません。

体感速度

最後に現実の使用感について書いておきましょう。
今までに書いてきた内容では、現実の回線速度についてFTTHはADSLより遙かに速いと言えます。
しかし、インターネットを使ってWEBサイトから通常の情報を得たり、メール交換を行うといった使用方法においては、FTTHがADSLより劇的に速いと感じるものでもありません。
動画サイトや大きなサイズの写真等を多く含むサイトでない限り、体感的に感じる速度はFTTHもADSLもそんなに変わらないことが多いものです。
適切に作られたWEBサイトなら、ADSLの速度でもストレス無く閲覧できます。

以上のようなことから、FTTHとADSLに次のような事が言えます。

  1. FTTHは、ほぼ確実に十分な回線速度が得られるが、ADSLは環境によって得られる速度は大きく変わり、条件が悪ければ使えないこともある。
  2. ADSLでも、条件が良く十分な速度を得られれば、通常のインターネットでのサイト閲覧やメール交換程度なら十分快適に使えるが、容量の大きい動画サイト等を閲覧するなら、FTTHのほうが遙かに快適に使用できる。
  3. 大容量のファイルを交換するなど「上り」の速度が必要な場合は、FTTHの方が遙かに有利である。

次回は費用について考えてみることにします。

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